インハイ予選はね

多くのチームが会場に来る。
そして、そのチームのOG達も後輩の応援に駆けつける。

ウチのOG達も応援に来てくれた。
その内の1人、リベロだったスズが挨拶に来て、
そのまま、一緒に応援をしていた。
このスズちゃん。現役の頃は、色々なチームの先生方に
「あの子は、良く拾う」とお褒め頂いた選手だった。
身長詐称疑惑を残したまま卒業して行ったんだけどね（＾＾；；
この間、聞くの忘れたワ。卒業後、140cm超したのだろうか？

OG達が来ると決まって、話をしながら試合を見てる。
その時、話題に成るのは、決まって自分達の試合の話（＾＾；；
これは、スズに限った話では無く、卒業生全員がそうだ。
で、その中でも一番多く語られるのは、一緒に戦った後輩達の話。
眼下で、プレーしてる子供達の事だ。

「何か、ミサが安心して見られる」とスズが言う。
そこから、この後輩達の下手ッぴだった話に花が咲く（＾＾；；；
これは、ミサに限らず、後輩達全ての話に広がって行く。
「今も、下手だぞ」と私は言うのだが、
この子の目から見た、後輩達の評価は正直嬉しかった。

子供達は試合間、このOG達と過ごしていたが、
ウチの子供達は、この日、多くの人に泣かされていた。
内容は分からないが、OG達にコソコソと耳元で語られる。
すると、その子の目から大粒の涙があふれ出す。
昨年、同じ思いを抱いてたOGならでは言葉に感激なのだろう。
きっと、その言葉を貰って、頑張ろうって気に成るんだろうね。

もう一つはベンチ。
タイムがかかって集まった子供達に、顧問が何か話していた。
上までは聞こえない。
でも、その輪が解けた瞬間、子供達の目から涙が溢れていた。
ダメだよ顧問。女の子泣かしちゃ（＾＾；；；；
でも、その後の子供達の動きが変わるから、
言葉って力が有るなって感じた。
「お前ら、この大会を理由に、テストの成績悪かったら
承知しねえからな！」で、泣いてたのか（＾＾；；；

大会が終了し、片付けを始めてると、横でスズがボールをいじり始めた。
そのボールを私に投げ、さも打って来いとでも言わんばかりのポーズ（＾＾）
1球打つとアンダーで返した。それが、実にへっぴり腰なフォームでね、
「オイオイ、お前下手に成ったか？」と言うと
笑いながら、腕が痛いと言っていた。
そこから、ゴリがスズ、アヤ、イク、モエ、アカリに球出しを始めた。
触りたいんだよ、ボールに。この気持ち分かるよ。

ウチのOG達も、他チームのOG達も、
インハイ予選はね、特に自分達が引退を決められた試合は、
思い出深く、いつまでも心に残っているのだろう。
あの時は、一生懸命過ぎて分からなかった事も、
時間が少し経つと、見えなかった事、気が付かなかった事が
分かったりするもんです。
だから、後輩達の目がウルウルしちゃう様な事が話せるんだね。
まあ、ナリはキャバ嬢だった奴もいたけどな（＾＾；；；

現役選手にとって、
インハイ予選は、いつもの試合とは違う緊張感漂う大会。
だが、時を経てあの緊張感と、挫折感、達成感などを味わった卒業生は、
良い意味で、自分を振り返る事が出来る大会です。
現場に居ると、いつに無く、しょっぱい味のする大会だけどね。