卵焼きのサンドイッチ

高校は給食が無いので、みんな弁当を持って行く。
周りに、コンビニも･･･って言うか、田舎なので、店の1件も無かった。
40年以上も前の話しだが、誰もが弁当持参か、
購買部でパンなどを買って食べていた。
そう言えば、購買部って、今は無いのかな？
文具や上履きとかも売ってたよな。

ある日の昼、あいつの弁当を見るとサンドイッチで、
卵焼きが挟んであった。
「一つ、くれっか？」
あいつが、一つ私に差し出したので、遠慮無く貰い食うと、
あいつんちの卵焼きには、砂糖が入っていて甘く、
その甘さが、塗ってあるバターと絡み合って、とても美味かった。
「これ、美味いんじゃねえの！」
甘い卵焼きは、初めて食した訳でも無く、家でも作って貰った事があったが、
このサンドイッチは、何だか、とても美味かった（＾＾）v

昨日の帰宅途中に、突然これを思い出した。
サンドイッチは好きで良く食べる。今のサンドイッチは、みな美味いね。
でも、どこか頭の片隅に、あの味がインプットされていて、
あの味を彷彿させてくれるサンドイッチに、巡り会った事は未だに無い。
勿論、あのサンドイッチを作ったのは、あいつのお袋さん。
そのお袋さんに、今週金曜日、実に40年ぶりに会う。
どんな顔して会えば良いだろう。
どんなに取り繕っても、見透かされてしまう。今は、そんな気持ち。
あいつの思い出話しの一つに、このサンドイッチの話しでもするか。
でも、きっと話も出来ないだろう。

享年58歳。
フォークソングと巨人とサッカーが好きな親爺でした。
最後の最後に、あいつに会えた事。
会わせてくれた奥さんに感謝だ。