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3人の同窓会 [友達]

雨降りだった今日、友人と病院で待ち合わせ、見舞いに行った。
大きな病院の見舞い受付の窓口は空いていた。
入口に着いた時、待ち合わせした友人に電話をしたら、
目の前の喫茶店で、手を振って笑っていた。
傍らには、入院してる友人の息子が座っていた。
「偶然会ったんだよ」
病室へ行く前に、少し息子と話しをして、一緒に向かった。
病棟6階の4人部屋で、入ってすぐ左側のベットに、寝ているあいつが見えた。
鼻にはチューブ、喉元を切開し管を通してる姿は痛々しかった。

「すみません、お忙しいのに」
奥さんと挨拶をし、寝ているあいつに声を掛けた。
「オイ、来たぞ、分かるか?」
喋れないのも分かってる、目が見えないのも分かってる。
でも、私も、友人も、あいつに普通に声を掛けた。

「良かったね、2人来てくれたよ」と奥さんが声を掛ける。
寝ているのか起きているのか、夢心地な表情だったが、
目が動くのを見て、奥さんが「あぁ、分かってますね、良かった」と言った。

すかさず、あいつの右手が動き、握手を求めている様子だったので、
あいつの手を握りながら、「来たぞ、ヨシオも、いんぞ」と言うと少し握り返して来た。
「そう言えば、お前と、手なんか握った事なんか無っかったな」と笑いながら話した。
私が手を離しても、まだ、あいつの手は、そのままだったので、
友人に「ほら、おめえとも握手だとよ」と言うと、友人も握手をしながら声を掛けた。

「自宅療養してる時、何度も高校時代の話しを聞かされて、
その度に、お二人の名前が出て、本当に楽しそうに話してました」
「ギターの話しや、一緒に喫茶店みたいな所で歌ってた話しをされるんですけど
その時、専門的な事を言われるので、私、分からなくて・・・」
私達が育ったのは、フォークソング時代だったので、
奥さんに、何を聴かせれば喜ぶでしょうと質問された。
そこからは、思い出話を交えながら、
かぐや姫の初期の頃とか、風とか、ふきのとうが好きだった事を知らせた。
私達が話す事を、奥さんはメモを取りながら聞いていた。

大学中退し、料理士の専門学校へ通い始め、
一番初めに就職したのが、銀座に有った老舗の洋食店。
ここのハンバーグは絶品で、何度か私も食べに行った。
「始発で行って、終電で帰って来る生活が続いてたから、
あの頃、良く体が持ったよな」と私が言うと、
「そう言えば、料理士の資格持ってるのに、
こいつの料理食った事無いな、家で料理した事あんの?」と友人が聞くと、
奥さんは無いと言ってました(^^;;;;;;
「こいつ、高い包丁セットを持ってんだよ」と私が言うと、
家のどこかにあるらしいが、息子は初めて聞く話しだったようで
「オレに、それ、くれないかな」と言うと、
あいつの首が横に振られた(^^;;;;;
「オメエ、ケチだな」と私が言うと、全員笑った。

あいつと、友人との話で、私も初めて聞く話しが有ったり、
私も、あいつと2人で湯田中温泉にギターを持って旅行に行った話しなど
それぞれに、思い出話しが出ていた。
その旅行の時、2組の女の子を見つけ、
どっちが声を掛けるかで、ジャンケンをして、あいつが負けた。
負けたあいつは、暫く考え、腕時計を外し、私に渡すと
決心した様子で「今、何時ですか?」と声を掛けに行った(^^;;;;
でも、それっきりで進展無し、茨城の田舎モンだったしね、
訛ってたら、続かないよ。と、今考えると良く理解出来る。
その話に、息子は多いに受けていた(^^)
「いっぱい、不味い話しが出て来ちゃうね」と奥さんが声を掛けていた。
「んじゃ、もっと女の話でもすっか?」と私が言うと、
「バラされちゃうね」と奥さんが微笑みながら、あいつの体を摩りながら言った。

話しの中心は、やはり音楽の事。
フォーク全盛期で、コピーしたり、曲を作ったりした話で盛り上がった。
「こいつの作った一羽の鳩って曲、覚えてる?」と友人に尋ねると
「あ~、覚えてる覚えてる、わりと良い曲だったよな」
奥さんに「聴いた事ある?」と尋ねたが、聴いた事は無いらしい。

とくにか、自宅療養していた半年間、
何度も何度も、私達と一緒にいた時の話しを聞かされたらしい。
「きっと、お二人に会えるの楽しみにしてたと思います」
前日、友人が偶然TXの中で、奥さん達と会った時の話しが出て、
実は、乗り遅れそうだったので、次のに、乗ろうかと言いながら走ったら、
間に合った電車で、いつも乗ってる車両では無く、
ギリギリ飛び乗った車両だった事を聞かされて、
友人は、「きっと、こいつが引き合わせてくれたんだべ」と話した。
「会いたかったんですね、きっと」と奥さんが言った。

お陰で、3人での同窓会が出来ました(^^)
「じゃあな、オレは、また来っから」とあいつに言うと目が動いた。
かぐや姫のCDを持ってくる約束をしたので、近い内に、あいつを訪ねる。
別れを告げ、病室を出ると奥さんも一緒に出て来て、話しをされた。
「あと、3ヶ月と言われていますが、今週に入って容体が落ち着いているので、
少し、安心しています」
その言葉に、相づちを付くだけで、私も友人も声は出ない。
そして、その奥さんの言葉に、私も友人も、覚悟の用意な物を感じた。
そんな話しをしながら、友人を秋葉原まで送った。
「じゃあな、マツ、お前タバコ止めろ」と最後に言われた(^^;;;;

あいつの事が有って、3年5組はクラス会の話しが出ている。
「用意するんだと、幹事が大変に成っちゃうから、
その時、集まれる奴だけで良いべな、やんべよ」
元気な内に、あの頃の思い出話しをしたい奴らが沢山いる。
私も、そんな年に成ったんだな。
今日は、その先駆けで、3人だけで同窓会をしちゃったけどな。
集まった奴らの声を、あいつに届けたいので、早めにやりたいね。




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