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入院してる友人から [友達]

飯田橋の病院に入院をしてる友人から電話があった。
「あと、2~3日で退院出来そうだ」
奥さんと一緒に出かけていた先で、
脳溢血で倒れ、緊急入院をし、そのまま手術をした友人です。

手術は上手く行ったと友人が知らせてくれた。
が、その後に続いた言葉に、少しの間言葉に詰まった。
「マツ、俺さ、結構簡単に考えていたんだよ、
脳溢血と言ってもさ、お前達とも話が出来たり、
手術も上手く行ったと聞かされてさ、運いいべなって感じでさ」

でも、あいつが認識してる事実は違っていた。

症状は脳溢血だったが、
それは、脳内の腫瘍が大きくなって、それが切れて
脳溢血と同じ症状が出て、緊急入院した。
ところが、その腫瘍を細胞検査した所、癌だと言う事が分かった。
奥さんは、最初あいつには伝えずに、1回目の手術を行い、
2回目の手術の時、あいつに伝えた。

「お陰様でさ、手術は本当に上手く行って、
腫瘍は、全部取り除く事が出来たって、医者からも説明された。
人によっては、手足が不自由に成ったり、麻痺が残ったりとする様だけど
俺は、それが全くないんだよ」

「ただ、目がダメらしい」

腫瘍を取り除く際に、そこに正常な脳の細胞があった。
それが、視神経をつかさどる物で、それの残しての手術は出来なかった。
「目が見えないんだ。ぼんやりとだけはわかるけど、
もう、車の運転も無理だし、1人で外出も出来ないらしいや」

「そうか・・・・・」と言ったきり、後の言葉が続かない。

「でも、アシストが有れば、用済ます事も出来るし、
手足は動くから、何とか、慣れるまでは大変かも知れないけど頑張るよ、
母ちゃんには、迷惑掛けちゃうけどな」

「うん、そうだな。
でもさ、奥さんはお前が家に帰って来てくれるって嬉しいと思うぞ」
奥さんは、先生をしてるが、多分休業して、
毎日、下妻から飯田橋までTXで通っていた。

「人ごとに聞こえるかも知れないけど、
オレもよ、お前が助かってくれて嬉しい。
そんな大病だとは思ってなかったから、大事だべ程度でしか思って無かった。
お前、本当に良く助かってくれたな、ありがとう」

そこからは、しばらく二人とも無言だった。
「家に戻ってから、暇になるからまた電話すっからよ」
と、あいつが切り出してくれた。
「そうだな、連絡くれっか、したっけ、遊び行くよ」
「奥さんに、よろしく言ってくろ」
切ろうとした電話口から、再びあいつの私を呼ぶ声が
「マツ、体、大事にしろよ」
「分かった、ありがとう」

社会人成ったら、ざっと10年以上は掛かる様な楽しい時間を、
たった、3年間で過ごして来た友達です。
飛んでいるハエを割り箸で掴む、と言う逸話を宮本武蔵は持っているが、
あいつは、飛んでいるハエを、割り箸でたたき落とした。
卓球部所属で、動体視力は並外れていた。
こいつとは、卒業後も付き合いがあるが、
あの濃縮された高校時代を過ごした仲間が、大変な岐路に立たされている。

何とも言えない気持ちに襲われる。
頭に浮かんでくるのは、あの楽しい時を過ごしていた時の映像。
誰も、元気を疑わない時だった。あれから、40年が経った。
おれらは、付き合いがあるから連絡し合えるけど、
普段してねえ奴らは、どうしてんだべ。

もう1人、一緒に見舞いに行った友人には、
私から連絡して置いてくれと頼まれたので、電話をした。
奴も、いつもの軽口の感じが、報告したら一変した。
「そうなんか・・・目見えねえのか、それってリハビリで回復とかはしねえの?」
「オレも同じ事を尋ねたけど、神経が無いから無理なんだってさ」
でも、事の重大さから言うと、助かってくれて良かったが一番で。
それを、二人で確認し合った。
「奴が帰宅して、それからでも会いに行くべか?」
「じゃあ、オレ、かぐや姫とかのCD持って行くわ」

病気をするは他人事では無い、特に、私らの年代はね。
だからこそ、人一倍健康に留意しなくてはと思っているが、
三日坊主な意識で終わる。少し、考えねばなんねえかな。




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